火垂るの墓|海外の反応が凄すぎた!日本で放送禁止は都市伝説!?

スタジオジブリの名作『火垂るの墓』は、海外でも多くの人々に感動と衝撃を与え続けています。

戦争の悲惨さをリアルに描いたこの作品は、視聴者の心を深く揺さぶり、涙が止まらないとの声が続出。

特に、Netflixでの配信後、海外の反応が大きく、数々の感動的なレビューが寄せられました。

一方で、「日本で放送禁止になったのでは?」という都市伝説も囁かれています。

今回は、『火垂るの墓』が世界中でどのように絶賛されたのか?と、日本で放送禁止になったとウワサの都市伝説の詳細に迫ります!

 

「火垂るの墓」が世界で絶賛!海外の反応まとめ

 

スタジオジブリの名作『火垂るの墓』は、日本国内だけでなく海外でも高く評価されています。

特にアメリカのNetflixで配信が開始されると、悲劇的で感動的な物語がSNSやレビューサイトで大きな話題に!

 

X(旧Twitter)で話題となったアメリカ人のレビュー!

ウサウサ

全文の文字起こしです。どうぞ!

「立ち直ることが難しく、忘れることはできない」 アメリカ

最初に言っておきたいのだが、もしあなたがこの作品をまだ観ていないなら、このレビューを読んだ後(もしくは読んでいる時でも)、できるだけ早くこの映画を観るべきだ

買っても借りてもいい。

なぜなら、イサオ・タカハタが生み出したこの傑作の価値を伝えるのに、私の言葉だけでは不十分だからだ。

私の知る限り、最も力強いメッセージを持つ反戦映画、それが「火垂るの墓」だ。

芸術作品としての価値で語るなら、ピカソのゲルニカやエルガーのチェロ協奏曲と同ランクと言える。

多くのアメリカ映画の中で、これほど強力な反戦メッセージを持つものがあっただろうか?

「華氏911」?「地獄の黙示録」?それとも「シンドラーのリスト」か?

率直に言って、どれもこの作品に及ばない

「火垂るの墓」は、汚れなき魂の喪失を描いた作品だが、それは幼い二人の主人公のことだけではなく、日本という国全体についての話なのだ。

ストーリーの中心となるのは二人の子どもたちだ。
13歳の清太と、4歳になる彼の妹の節子。

彼らの母親は第二次大戦中、爆撃のために命を落とす。
そのため、この兄妹はおばの元に身を寄せることになる。

最初は親切だったおばだが、次第に、なぜ兄妹は食べ物を与えて保護しなければならないのか?なぜ清太は国のために働こうとしないのか?と、不快に思うようになっていく。

結局、清太と節子は、廃虚となった防空壕で、二人だけの暮らしを始めることになった。
しかし、食料がなかなか手に入らず、徐々に栄養失調に陥ってしまう。

そして、彼らは命を落とすのだ。

実は、映画序盤から、彼らが死ぬことは明らかにされている。

ボロボロの服をまとって、駅構内に横たわる清太、栄養不良の状態にあることは明白だ。
彼の持ち物だったミステリアスな缶を、駅員が夜の闇に向かって投げ捨てた。
そこにはホタルが舞っており、節子の幽霊が現れる。
そこに清太の幽霊が加わり、彼らは電車に乗って、あの世へと旅立つのだ。

ストーリーはそこからフラッシュバックされる形で語られていく。

「昭和20年9月21日夜、僕は死んだ」

これが出だしのセリフだ。

この映画で興味深いのは、日本の作品であるにもかかわらず、日本人を被害者として扱うこともなれば、アメリカ人を悪者扱いするわけでもないということだ。

むしろ、苦しんでいる子どもたちを冷たくあしらう日本の人々に対しての軽蔑が感じられる。

タカハタは、戦争で真に失われるのは生命ではなく、汚れなき魂であると訴えているのだ。

アニメーションそのものは、リアリズムに基づく伝統的なスタイルで、ディテールも豊富だ。
キャラクターたちの死を悲劇的に描く一方で、美しい瞬間も多く描かれている。

だが、この作品に称賛されるべきシーンが数多く含まれているのは、別に不思議なことではない。

なぜなら、この作品を製作したのは、日本の伝統的なアニメーションスタジオである、スタジオジブリだ。
私は幸運にも、このスタジオが作り上げてきた息をのむような作品の数々を鑑賞する機会に恵まれてきた。

「火垂るの墓」は、ストーリー、その象徴的意味、アニメーション、全てが一体となって、まるで腹に強い一撃を食らったような心の衝撃を感じる作品で、そのショックから立ち直ることは難しく、忘れることは不可能な作品だ。

アニメーションではあるが、極めて生々しくもある。
実写映画ではないという理由で、作品の力強さが損なわれるわけではないという点にも気づいてもらえるだろう。

あなたに、立ち直れないほど落ち込んでも構わない夜があるなら、是非「火垂るの墓」を観て頂きたい
これは、決してあなたが喜んで観たがるタイプの作品ではないが、しかし、決して、観たことを後悔する作品でもない。

『IMDb』の評価と海外レビュー

 

映画やテレビ番組に関する世界最大級のオンラインデータベース『IMDb』の評価でも平均8.5点を獲得し、多くの感動的なレビューが寄せられています​。

 

海外の感動レビュー

・この映画を観ることを最初は躊躇しましたが、友人に薦められて観ました。終わりには涙が止まらなくなりました。今まで見た中で最高のアニメ映画です(2020年9月9日)

・他の映画では感じられない感情が押し寄せ、涙が止まりませんでした。アニメーションかどうかに関わらず、これは最高の映画の一つです(2019年8月29日)

・この映画は戦争の現実を描き、見終わった後に私は完全に崩れました(2019年1月3日)

・戦争の恐ろしさとその影響を描く、心を動かす映画です(2018年7月22日)

・『火垂るの墓』はアニメーションの可能性を示す傑作で、心に深く刻まれます(2017年3月11日)

・ジブリの最高傑作の一つ。戦争の残酷さを鮮明に伝えています(2016年8月6日)

・この映画は人間性と生存の本質について深く考えさせられます(2015年12月25日)

・戦争映画としても、アニメーション映画としても傑作です。見終わった後も長く心に残ります(2014年9月1日)

・戦争の犠牲者、特に子供たちの苦しみを描き、平和の大切さを訴えています(2013年5月23日)

・アニメーションの芸術性と物語の深さが見事に融合しています(2012年11月11日)

海外批評家のレビュー

批評家からも『火垂るの墓』は非常に高く評価されており、戦争の悲惨さや人間のプライドを描いた深い映画として称賛されています。

・The New York Times (Glenn Kenny) – 100点
この映画は、最も衝撃的で感動的なアニメーション映画の一つであり続けています。また、「大人は判ってくれない」「ケス」「さまよう人々」などと並んで、無関心な世界での若者の生き方を描いた最高の映画の一つです

・Chicago Sun-Times (Roger Ebert) – 100点
アニメーションに対する考え方を根本から変えさせるほど強力な感情体験です

・The Guardian (Steve Rose) – 100点
この日本のアニメーション傑作は、実写映画と同じくらい心を揺さぶる戦争物語です

・ReelViews (James Berardinelli) – 100点
子供も映画に影響を受けるかもしれませんが、高畑勲監督が画面に描いたものを完全に吸収するには、ある程度の年齢の重みが必要です

・TV Guide Magazine – 100点
野坂昭如の半自伝的小説を基にしたこの作品は、高畑監督の壮大かつ親密なアニメーション作品であり、戦争の犠牲となる捨て去られた子供たちの運命を感動的に描いています

・The A.V. Club (Tasha Robinson) – 91点
「火垂るの墓」は、運命づけられた主人公たちを、スタジオジブリの比類なきアニメーション映画に共通する豊かな個人的詳細と信憑性のある性格描写で、まったく人間らしく見せています

・Slant Magazine (Chris Cabin) – 88点
高畑勲は生存を物語の中心的なテーマとしていますが、決して登場人物を貶めたり、彼らの苦しみを美化したりしていません

・Chicago Reader (J.R. Jones) – 88点
アニメを芸術のレベルに引き上げる点で、宮崎駿の作品に匹敵します

・The Observer (UK) – 80点
完成度が高く、心に響き、容赦のない作品です

・Empire (Dan Jolin) – 80点
心臓を刺すような映画で、決して家族向けではありませんが、美しく構成されたアニメーションドラマです

 

『火垂るの墓』は、1988年に公開されたにもかかわらず、今でも多くの新しいレビューが投稿され続けています。

これらのレビューから、『火垂るの墓』が長年にわたり高く評価され続けている理由がわかります。

戦争の悲惨さとともに描かれる兄妹の絆や人間の強さが、多くの視聴者の心に深い印象を与えており、そして、兄妹の物語に涙し、戦争の残酷さを改めて実感したと述べています。

 

なぜ「火垂るの墓」は日本で放送禁止?都市伝説の真相とは!?

『火垂るの墓』は日本で何度も再放送されてきた名作ですが、近年では放送頻度が減少し、「放送禁止になったのでは?」というウワサが広がるようになりました。

このウワサに関連して、さまざまな都市伝説が生まれましたが、放送されない真相は以下の4つが主な理由のようです。

 

1.視聴率の減少

節子
© 野坂昭如/新潮社,1988

『火垂るの墓』の再放送は、主に日本テレビ系列の「金曜ロードショー」で行われてきました。

1989年8月11日に初めてテレビ放送され、視聴率は20.9%を記録。

その後も1990年代から2000年代にかけて、ほぼ2年おきに8月頃に放送されるのが通例となっていました。

2010年代以降の放送実績
  • 2013年11月22日:視聴率9.5%
  • 2015年8月14日:視聴率9.4%
  • 2018年4月13日:視聴率6.7%

 

2018年4月13日の放送は、同年4月5日に逝去した高畑勲監督の追悼特別番組として放送されましたが、視聴率は6.7%と低調でした。

近年では視聴率の低下もあり、6年以上にわたって再放送されていません。

このような状況から、「放送禁止になったのでは?」という都市伝説が生まれたのです。

しかし、『火垂るの墓』は放送禁止になったわけではなく、 視聴率の問題や時代の流れにより、再放送の機会が減っているに過ぎないようです。

多くの視聴者から再放送を望む声が上がっていますが、現時点では具体的な放送予定は発表されていません。

 

2.サクマ式ドロップスの商標問題

サクマ式ドロップスと節子
© 野坂昭如/新潮社,1988

都市伝説の一つとして語られるのが、映画に登場する「サクマ式ドロップス」の商標問題です。

戦後、佐久間製菓の兄弟が分裂し、商標権を巡って争いが起こりました。

その後、「サクマドロップス」(緑缶)と「サクマ式ドロップス」(赤缶)が別々に販売されることになりました。

しかし、この商標問題が「火垂るの墓」の放送に直接影響した証拠はありません

 

3.反戦映画としての解釈

清太と節子2
© 野坂昭如/新潮社,1988

「火垂るの墓」が反戦映画であるため放送禁止になったというウワサがあります。

作品が戦争の悲惨さをリアルに描いているため、強い反戦メッセージが批判の対象となったと言われています。

しかし、監督の高畑勲氏は「火垂るの墓」を反戦映画ではなく、「戦争中の普通の兄妹の日常を描いた悲劇」として制作したと述べています。

 

4.トラウマシーンの存在

 

『火垂るの墓』には、視聴者に強烈なトラウマを与えるシーンが多く存在します。

衝撃的なシーン
  • お母さんの死亡
    空襲で全身火傷を負った母親にウジ虫がたかる描写は視覚的に非常に強烈
  • 節子の死亡
    栄養失調で衰弱した節子の最期は、特に子供の視聴者に強いショックを与える
  • 清太の死亡
    駅のホームで餓死する清太のシーンも、非常に印象深い
  • 空襲
    神戸大空襲の様子を描いたシーンも、その迫力と恐怖から多くの視聴者に強い印象を与える

これらのトラウマシーンが多いため、放送が控えられているのではないかという都市伝説も生まれました。

特に「子供にはあまりに残酷すぎる」との意見もあり、一部のシーンがカットされるケースもあるようです。

 

「火垂るの墓」にまつわる都市伝説

『火垂るの墓』には、多くの都市伝説が存在します。

その中でも有名なのが、この2つ。

「物語を永遠にループし続けている」説

清太と節子電車のシーン
© 野坂昭如/新潮社,1988

「清太と節子は亡くなった後も、物語を永遠にループし続けている」とは?

少し難しい解釈ですが、どういうことなのでしょうか?

この都市伝説について、監督の高畑勲氏は、

「2人は幽霊となり、悪夢のようにこの体験(物語)を永遠に繰り返している存在だ」

と語っています。

つまり、戦時中に亡くなった清太と節子は、死後も成仏できず、辛い人生を繰り返しているということです。

この解釈により、都市伝説の信憑性が一層高まったと感じる人も多いようです。

 

「サクマ式ドロップス」の消滅説

サクマ式ドロップス
(毎日新聞)

2023年1月に「サクマ式ドロップス」の製造元・佐久間製菓が廃業

映画『火垂るの墓』に登場する「節子の赤い缶のドロップが現実から消えた!」とウワサされました。

このように都市伝説として広まりましたが、実際にはこれはただの偶然の一致。

映画と現実がリンクしたかのように語られた不思議な話ですね。

 

まとめ

高畑勲監督
高畑勲監督 photo by gettyimages

 

『火垂るの墓』が日本で放送禁止になったという都市伝説は、実際には視聴率の低迷や作品の重いテーマが原因で、放送頻度が減少したことから広まったウワサのようです。

サクマ式ドロップスの商標問題やトラウマシーンの存在もウワサを助長していますが、これらが直接的な放送禁止の理由にはなっていません。

また、『火垂るの墓』は海外で高く評価されている一方で、日本国内での放送や配信がありませんが、これも視聴率や内容の重さが影響しているためで、完全な放送禁止ではないようです。

 

本作が描く戦争の悲惨さと人間の苦しみは、現代においても重要なメッセージを持ち続けています

今なお世界には約13,400発の核兵器が存在し、その90%をロシアとアメリカが保有しているという現状を考えると、平和への道のりはまだ遠いと言わざるを得ません。

『火垂るの墓』は、戦争の悲惨さや平和の尊さを次世代に伝える貴重な作品であり、その本質的な価値を改めて見つめ直すべき作品なのではないでしょうか。